<労働者派遣法:改正法案、今国会で成立へ> 毎日新聞 2012年3月6日
衆院厚生労働委員会は6日の理事懇談会で、継続審議中の労働者派遣法改正案を7日に採決することで合意した。8日にも衆院を通過する。民主、自民、公明3党は製造業派遣の原則禁止など主要部分を削除する修正で合意しており、今国会で成立する見通しとなった。
政府が10年4月に提出した同改正案は、08年秋のリーマン・ショック後に横行した「派遣切り」などを防止するため、製造業派遣や仕事のある時だけ契約を結ぶ「登録型派遣」の原則禁止を盛り込んだ。しかし、規制強化による企業経営への悪影響を懸念する自民、公明両党が反発し、成立のめどが立っていなかった。
昨年秋の臨時国会で政府・民主党側は大幅譲歩。製造業や登録型派遣の禁止を見送るほか、違法派遣があった場合に派遣先企業が労働者に労働契約を申し込んでいたものとみなす「みなし雇用制度」の導入も3年後に先送りすることなどで自公両党と合意した。ただ、会期末で時間切れとなり継続審議になった。
同法案には修正後も派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の比率(マージン率)の情報開示の義務化などは盛り込まれる。
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戦後、それまで「口入れ屋」「周旋屋」によって不当な中間搾取をされ、悲惨な労働環境に置かれていた日本の労働者は、「間接雇用」を禁止し、周旋屋を許さない労働法制により権利を守られてきました。
しかし、労働者派遣法は制定以来、順次その規制を緩和され、現在では、現代版の周旋屋「人材派遣業」はフリーハンドでやりたい放題。
ワーキングプア・貧富の格差の根幹はここにあります。
民主党は、政権を取ったら「製造業派遣禁止」「登録型派遣の禁止」という多少なりとも現代版「口入れ屋・周旋屋」の横暴を止めてくれるはずだったのにね。
左翼的な政権のクセに、労働者の為にやらねばならない政策をあっさり放棄する姿勢では、格差社会・ワーキングプアなど未来永劫実現できませんな・・・また、言うだけ番長で終わりましたね。
ところで、派遣・非正規雇用問題について語る時、「小泉改革がいけなかった…」などという評論家・コメンテーターが多いですが、非常に表面的な見解に過ぎません。
経団連は、上手に小泉改革を使った上に、自分たちが表舞台に出て目立つことが避けられた結果、「小泉改革がいけなかった」ように見えているに過ぎません。
現在の派遣・非正規雇用問題の根源には、第二次大戦敗戦以来の、もっと根深い経団連の宿願達成への長期的な戦略が潜んでいます。
<*経団連の宿願の発生> 戦前の劣悪な労働条件・搾取的雇用慣行を抜本的に改善する為に、戦後になって労基法をはじめとする労働関連法の整備が行われました。
そして、逆に言えば「経営者」にとっては、
「戦前の“手配師・周旋屋”の復活による経営者に有利で便利な雇用慣行をもう一度実現すること」
が宿願となりました。
戦後早々に発足した経団連にとって、大きな宿願の一つでありました。
それでも戦後は、長期的に右肩上がりの経済成長が続いた上に、日本の労働者の年令も若く、給与水準も世界的に見れば低位の状態が続きましたので、戦後の雇用慣行に対して、経営者が異を唱えることの優先度は、高くはありませんでした。
しかし、高度成長期も終わり、時代が進むにつれ、日本の給与水準も世界的に遜色ない水準に至り・・・
宿願成就の優先度は高くなり、経団連も要所で雇用慣行の改革に向けた活動を打ち出すようになりました。
<*宿願成就への道> そして、ついに提言などの繰り返しによる世論操作・政界工作が実る時が来ます。
1980年代には「専門的な職種のみに限る」といった条件付ではありましたが、とうとう「派遣業」という名の“周旋屋・手配師”の復活にこぎつけました。
その後着実に既成事実を積み上げていきました。
そして、経団連の宿願成就は最終段階に入ります。
<*宿願成就>バブル崩壊からの浮揚を目指す小泉改革の“構造改革”が始まると、早速経団連は「日本的雇用慣行の改革」を提起しました。
確かに戦後の右肩上がりを前提とした雇用慣行・人事制度等を改革することは、合理性も十分有りましたから…。
そこで、体よくその改革項目の中に滑り込ませた“派遣”の原則自由化による「“手配師・周旋屋”の事実上の完全復活」という経団連の宿願も、その本当の意図が理解されないまま、採用されてしまいました。
そして、ついに戦後一貫して経団連(経営者)が宿願としてきた現代版の“手配師・周旋屋”=“派遣業”の復活が成就しました。
現在のワーキングプアに至るまでの長期にわたる経団連の戦略的な道程であることをご理解いただけたでしょうか!
さすが経営者だけあって長期的視野に立ち、執拗に自分たちのビジョンを実現する突破力には感嘆しますね。
<*宿願成就の陰の立役者> 経団連の宿願成就の一端を担ったとも言えるのは、実は仇の筈の日本の労組です。
経団連の長期にわたる戦略的な宿願達成をみるにつけ、日本の労組の無能ぶりが浮き彫りになります。
敗戦という多大な犠牲を払って得たせっかくの労働者の権利・有利な雇用慣行。
日本の労組は、御用組合に徹し、経営者に迎合し、お祭り“春闘”ぐらいしか活動してこなかったといえます。
非正規雇用・派遣問題に関しても、正規雇用中心の労組様は、当初マトモに取り上げませんでした。
それどころか正規雇用者を守る為、率先して派遣・非正規雇用を批判するだけの態度でしたから…。
ようやく最近になって、少しは非正規雇用者の組織化などに取り組みを見せていますが、時既に遅い!
少なくとも経団連が宿願を果たし始めた1980年代から、経団連に対峙して派遣法の成立は、潰すべきでした。
チョットでも労働法規かじった者なら、「間接雇用の禁止」が労働者保護にとって、どれほど重要な規定か知らないことは無かったはずです。
形式上「派遣」は間接雇用でないことになっていますが、事実上、間接雇用と同じ事で、現代版「口入れ屋・周旋屋」であることは、明白だったのですから・・・
いわんや2000年代における“派遣の原則自由化”など、ストをしてでも止めるべきでしたね。
これじゃ、労働組合の組織率など下がるわけだ。
労働貴族化して、何の役にも立たない労組など、加入するだけ組合費とられて損ですからね!
(注)ここでいう“経団連”とは、厳密に経団連加入企業だけを指すというより・・・広く「経営者の総意を示す団体」の代表例・象徴として使用しています。



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- 2012/03/25(日) 00:00:27|
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1 :有明省吾 ◆BAKA1DJoEI @有明省吾ρ ★:2012/04/23(月) 02:05:59.48 ID:???0 ?PLT(12066)台湾の郭台銘氏は74年、サラリーマン生活に見切りをつけ、台北郊外に小さな工場を借りて鴻海(ホンハイ)プラスチ...
- 2012/04/23(月) 04:01:14 |
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