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<日本のアニメが世界に「売れない」 生き残りの道は > /ITmedia News 2009年01月28日
不況や市場の飽和で、日本のアニメが世界で売れなくなっている。アニメ市場縮小の時代をどう乗り切るか――テレビ東京は米国の動画投稿サイトを活用し始めた。
日本のアニメが世界で熱狂的に受け入れられる――そんな時代が、過去の物になりつつあるようだ。
「2010年以降、日本アニメの世界市場は縮小する」と、テレビ東京傘下のアニメ専門チャンネル、エー・ティー・エックス(AT-X)取締役で、テレ東アニメ事業部長の経験もある岩田圭介さんは予測する。日本アニメは世界市場ですでに「飽和状態」で、成長の余地が見えないという。
世界同時不況やネットの違法配信の影響などで、北米市場は「ぼろぼろ」、欧州市場も厳しく、中東やアジアなど新市場も期待薄。「このままでは、日本のアニメを日本の市場だけで売る一昔前に戻るかもしれない」ほど事態は深刻だ。
逆風下での生き残りをかけてテレ東は、米国の動画投稿サイトでアニメを配信するなど、新たな取り組みを進めている。
「こんなものでも買うんだ、という作品も売れていた」が……
日本アニメの海外進出は、「新世紀エヴァンゲリオン」(1996~97年)を機に急拡大したという。それまでは「金髪のジェニー」や「ムーミン」といった、海外を舞台にした“無国籍アニメ”が受け入れられていたが、エヴァは日本のアニメとして歓迎され、市場を一気に広げた。
97年ごろから「ポケットモンスター」が海外でメジャー作品化。02年には「遊戯王」がさらに市場を拡大し、日本のアニメは売り手市場に。「こんなものでも買うんだ、と思うようなアニメがセットで売れていった」。02年以降、「NARUTO」も世界的にヒットし、海外のティーンエイジャーや「OTAKU」層の心をとらえた。
その後は「ケロロ軍曹」「ブルードラゴン」といったタイトルが海外展開を開始・準備しており、09年までは、NARUTOまでの作品が広げてきた海外ファンからのニーズを、複数のタイトルで支えている状況が続くと岩田さんはみる。
だが市場はすでに飽和状態。「10年以降、世界市場が縮小するというシナリオが、容易に想像できる」
市場の飽和に加え、世界同時不況や各国の事情、動画共有サイトの違法配信が、日本アニメ輸出に暗い影を落としている。
アニメ輸出、米国も欧州もアジアも厳しい
アニメ業界も、世界同時不況の波をかぶっている。輸出産業として円高の影響を受けている上、最大の輸出市場だった米国や欧州も不況のまっただ中だ。
市場環境の厳しさに加え、米国では、地上波放送で日本アニメの視聴率が低迷。地上波放送局は、日本アニメの暴力的な内容や、グッズ販売を前提にした構成を嫌い始め、アニメへのニーズ自体が低下しているという。
日本のアニメ配給を手掛けてきた米国の「4Kids TV」は、FOXテレビのアニメ枠から撤退。アニメ専門チャンネル「Cartoon Network」も一時日本アニメから全面撤退した。Cartoon Networkは、「オタク向けの『Adult Swim』(14歳以上限定)で一部復活した」が、ポケモンやNARUTOレベルのヒットは望めない状況だ。DVD市場も厳しく、「全米で400本しか売れないタイトルもあった」という。
欧州も状況は厳しい。もともと自国文化の育成に力を入れている国が多く、海外アニメを放送できる枠が少ない中で、「買ったものの放送できず、手つかずのタイトルが山のように残っている。新しい物がいらない状況」。言語や文化のギャップも大きいという。
成長市場として期待していたアジアや中東諸国も、不況の影響で「マーケットがひどい状態」。中東では「各国の投資庁が昨年、アニメ投資を発表していたが、頓挫している」という。
さらに、違法配信サイトや動画共有サイトの台頭が、地上波テレビを中心としたアニメのビジネスモデルを破壊。「日本でアニメを放送された翌日には、現地語の字幕を付けてネットにアップされてしまう」ため、日本で放送終了した作品を海外に販売するころには、海外ファンはすでにそのアニメを見ており、視聴率が取れなくなる。「成功の方程式――テレビメディアのビジネスモデルが崩れた」
国内アニメ産業、06年をピークに縮小
国内でも、アニメが置かれた状況は厳しい。日本動画協会の発表によると、国内アニメ産業の総売上高(海外販売も含む)は06年がピークで、07年には前年を割った。
「アニメ業界にはマイナス要素の方あまりにも多すぎる」と岩田さんは指摘する。マイナス要素とは、(1)地上波テレビが不況に入った(日本民間放送連盟加盟127社のうち、約4割の55社が08年9月期経常赤字に)、(2)アニメは視聴率が取れないため「キー局でゴールデンタイムに放送するのは不可能」、(3)アニメ単体でヒットする作品がない――など。アニメの制作本数も激減している。
プラス要素として唯一挙げたのは、アニメを流すメディアが多様化していることだ。BSやCS、地上波デジタルなどで多チャンネル化が進んでいるほか、ネット配信や携帯電話向け配信も盛ん。「ニンテンドーDS」や「Wii」「プレイステーション 3」などゲーム機向けにもネット配信できる環境が整っている。
(※)初出時「07年をピークに減少」としておりましたが「06年をピークに減少」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。
ネット時代の新ビジネスの開拓へ 「Crunchyroll」で海外配信
「危機はチャンス」――テレビ東京は今後もアニメを積極展開する方針で、ネットを活用した新たなビジネスにチャレンジしている。
1月から、米国のアニメ専門動画共有サイト「Crunchyroll」で、「NARUTO」「銀魂」など「テレビ東京の最強コンテンツ」を、日本での放送の1時間後に有料配信。月額7ドルで、会員数は1万人を超えたという。日本のアニメチャンネル「AT-X」(月額1575円、4月から1890円に値上げ)の会員数は「10年かけて10万人になった」というから、1カ月弱で1万人を達成した意味は大きい。
Crunchyrollを含めた3サイトで、放送の7日後に広告付き低画質版の無料配信も行っており、NARUTOの無料配信には1話平均16万アクセスあったという。 海外向けネット配信の狙いは、課金や広告からの収入だけではない。日本での放送直後に字幕付きで配信することで、「日本で放送されたアニメに1番に字幕(ファンサブ)を付けてネット配信することに命を賭けている人たち」のやる気をそぎ、違法配信の抑制することも大きな目的だ。
Crunchyrollには従来、権利者に無許諾のアニメも多く掲載され、問題になっていた。だが運営元の米Crunchyrollは「株主から、そろそろまっとうな企業に脱却するよう言われていた」時期。テレビ東京が合法的に人気コンテンツを提供することで、Crunchyrollが“まっとうなサイト”になる支援をしつつ、「違法行為で成長した企業がほかの違法企業を取り締まる効果も期待している」という。
NARUTOなどは万単位のアクセスを集める人気作品だが、コンテンツによっては300アクセスしか集まらないものもあるという。「『1本10万円で売れました』の世界とは違い、コンテンツの力で利益が上がる」と手応えも感じている。
日本では、地上波テレビのビジネスモデルがまだある程度健在とみており、国内でのアニメのネット配信には慎重だ。それでも「需給バランスは崩れ、枠が余っている。タカビーで敷居が高いテレビではやっていけない」。状況を悲観するのではなくチャンスととらえ、ほかの媒体と連携しながら新しいビジネスモデルを築いていく考えだ。
講演は、デジタルハリウッド大学が1月28日に開いた「アニメ・ビジネス・フォーラム+2009」で行われた。
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いよいよ本格的に動画投稿サイトの影響が出てきましたね。
以前から、このブログで取り上げていますが、我々エンタテインメントコンテンツ業界の者から言わせて貰えば、「ニコ動」だの「youtube」だのといった動画配信サイトは、事実上著作権無視でドンドンアニメだのTV番組だのをアップしますので、DVDが売れないことをはじめ上記の記事のように収益悪化は、酷いものです。
・「日本のアニメが売れない」≒「消費者の需要が無い」ということではありません。
・「日本でアニメが放映される」→「アッという間に動画投稿サイトにUpされ、世界中で見れてしまう。」→「金出してDVD買って見る」or「現地で放映されてから見る」必要が無い・・・という恐ろしい状況なのです。
コンテンツ関連業界の方ならご存知であろうが、加速度的にアニメなどのDVDが売れなくなってきています。
原因は、いろいろいわれているが、端的にいうなら明らかに、ニコ動・youtube等の動画投稿サイトの影響でしょう。
これは、アニメ・ゲームといったコンテンツビジネスを本格的な産業に育てようとするためには捨ておけない問題です。
話が若干それますが、韓国や中国にいずれ日本のコンテンツ業界が負けてしまうという意見が有りますが、少なくとも現状では、私にはそうは思えません。
なぜなら、そこにはまともな市場がないからです。
事実上、海賊版CD・DVD・ゲームで溢れる中国や韓国では、正規版はビジネスになるほど売れません。
無責任な消費者にとっては、うれしい状況かもしれないが、これではビジネスにならないので、本当に有能な人材も集まらないし発展もしない。
事実これらの国では、ビジネスになるオンラインゲームや映画興行などが中心です。
もしくは、コンテンツビジネスとしては、韓流・華流ということで、ビジネスになる日本へ売り込むしかない。
事実韓流などといっていたものも、売上の大半は日本におけるものである。
結局のところ、まともな市場がない所では、コンテンツビジネスは成り立たないのである。
海賊版DVDを作成し販売することについては、日本では社会のコンセンサスとして、いけないこととされ、それなりに取り締まりもされ、コンテンツ業界に壊滅的な影響は与えてはいません。
そして、このようなコンテンツに対する事実こそが、それほど数の売れない作品であっても、何とか採算に乗せることができるため、多様で裾野の広い作品群が日本では存在できる要因なのである。
(中国・韓国あたりのアジアでは、この社会的コンセンサスがなく、取り締まりもしないし、誰も悪いことと思っていない。これじゃビジネスなんかになるわけない。)
この日本のコンテンツ業界の“強み”を育んできた土壌が無くなろうとしています。
動画投稿サイトによる違法UP問題が怖いのは、悪いことという社会的なコンセンサスがなく、みんなニコニコと違法動画を当然のように見て楽しんでいることである。
そのうち「コンテンツなんて、ネットでタダで見るものさ…」「金出して買うモンじゃないね…」という意識・空気が蔓延してきています。
これは短期的には、無責任な消費者にとっては、ニコニコ愉快な状況だと思います。
しかし、いずれボディーブローのように、コンテンツ業界に悪影響を及ぼし、コンテンツ業界の縮小に繋がります。(もう既に大きな影響出ていますが…)
そして、その影響は、もともとそれほど数の売れない種類の作品群に、より大きな影響を与えます。日本の裾野の広い多種多様なコンテンツは、このままでは、いずれ採算を取れずに衰退していくのではないでしょうか。
そして(エロとグロを除いて…)本当のメジャーなタイトルしか残らず、アメリカのようにハリウッドやディズニーなどが中心の多様性のないコンテンツ業界に陥ってしまうでしょう…。
(そしてこの真の意味での商業的マスコンテンツはアメリカの独壇場なので、日本のコンテンツ業界自体が危ういです。)
動画投稿サイトに合わせた新しいビジネスモデルを構築すべき…etcといったご高説をのたもう人も多いですが、確かにそれも有るでしょうが、それに対応できるのは、限られた大手位でしょう。
現状のビジネスモデルでアップアップのコンテンツ企業が、そんな新しいビジネスモデルが立ち上がるまでもたないでしょうから、安く買い叩かれて吸収でもされちゃうでしょうね。
動画投稿サイトだけ栄えて、小さく多様なコンテンツ企業は吸収により激減、本当にマスビジネスになるコンテンツしか残らない…という未来が既に見えてきています。
海賊版問題で中国・韓国を笑っていられません!
動画投稿サイトは、社会的な“悪・犯罪”というコンセンサスがまだ無い分、海賊版よりタチが悪い。
Cool,Japan!とか浮かれていないではやく、違法動画UP問題を何とかしないと、アニメ・ゲームという日本の唯一のエンタメ・ソフト分野での唯一の強みがなくなってしまいますよ!
結局の所、日本のアニメ・ゲーム業界が強いのは、「食える」ということです。
海外に比較してまともで幅広い健全な市場があるから、ビジネスが成立し、優秀な人材も集まる →良い作品が生まれるという環境があるということなのです。
違法コピーや違法ダウンロード・動画投稿サイトを放置していると、いずれ「タダで見りゃいいや!」となりまともな市場が無くなる。→ビジネスとして成立しない。→人材も集まらなくなり、業界は衰退という結末になってしまいますよ。
もともとアニメ業界が無い他国にとっては「どうでも良い」もしくは「日本アニメがタダで見れて楽しいな」ということなのかもしれませんが、日本では先人の努力の末、裾野の広いアニメ業界が形成されてきました。
世界的にも「Cool Japan!」と評価され、これからという時なのに、このままでは、業界の存亡に関わりますよ。
森永卓郎氏あたりは、実情も知らず「オタク文化で日本は栄える。」とか根拠も無く言っていますが所詮門外漢の大嘘、「オタク文化」こそ多種少量生産の極みであり、少し売れなくなるだけで致命的な打撃を受けて、消滅してしまいますよ。
(まあ、モノが関わるオタクとビジネスでない同人あたりは別にして・・・)
国も愚にもつかないアニメ業界育成支援などしていないで、動画投稿サイト問題の解決に力をそそぐべきですね!


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- 2009/03/27(金) 00:00:18|
- 時事
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