<中国が世界一の工業国に 米国主導の歴史に終止符>
米国が世界の工業のリーダーでないとは――今の世を生きている人々は、このような出来事を経験したことがないだろう。世界の最新のデータによると、中国はすでに米国に代わり、世界一の工業生産国となり、さらに米国を大きく引き離した。これは米国の約1世紀に渡る世界一の工業国の歴史の終結を意味する。そのため一体何が起こったのかを明確に記録し、かつこれが示した中国経済発展の中身を詳細に分析することには、重大な意義がある。
国連がこのほど発表したデータによると、金融危機前の2007年、中国工業生産額は米国の62%のみだった。しかし2011年になると、この数値は2兆9000億ドルに膨れ上がり、米国の2兆4000億ドルの120%に達した。
米中央情報局(CIA)の「世界の概況」のデータによると、2012年の中国の工業生産額は3兆7000億ドル(中国国内の統計と世界の統計方法が異なるため、両者を比較することはできない。文章中のすべての国際的な比較は、国際共通基準を採用している)に達し、米国は2兆9000億ドルのみだった。これは中国の工業生産額が、米国の126%に達したことを意味する。
工業生産額のうち、鉱業・電力・天然ガス・水道の生産額を除いた製造業のみを例とすると、中国の2007年の生産額は米国の62%であったが、2011年にはこの数値が123%に膨れ上がった。2011年ばかりでなく、中国と米国のこの差は、2012年と2013年も拡大を続けた。
米国の衰退のみならず、世界には中国に追随できる国は存在しない。2011年の中国の工業生産額はドイツの346%、日本の235%に達した。
世界の構造変化の裏側にある意義を分析すると、中国の工業生産額の拡大が含む深い意義と影響は工業そのものをはるかに上回っている。これは中国の1人当たりGDPの成長、人々の生活水準の向上に対して、重要な作用を持っている。その他の経済分野、とくにサービス業と比べ、工業は生産効率を最も急速に引き上げやすい分野である。そのため欧州と日本の工業生産額の減少、米国の成長の停滞は、中国が先進国との生産効率の差を縮めていることを意味する。
工業生産額の急増により、中国は人民元相場の大幅な上昇の圧力を適切に消化できている。これはさらに積極的な効果を直接的にもたらしている。中国の輸入コストが減少し、人々の生活水準が引き上げられているのだ。
しかしながら、中国は大きな進歩を実現したからといって、その成果を過大評価することはできない。中国の工業生産額は米国を大きく上回っただけであり、米国は依然として世界の実質的な技術リーダーだ。中国がこれに追いつくためには、相当長い期間が必要だ。世界各国の収入を見ると、米国の工業企業の収入は中国企業の4倍に達している。中国の工業企業の収入は、2007−2013年にドイツを抜き、世界3位になった。
米国は100年間に渡り、工業のリーダーとしての座を他国に明け渡したことはなかった。中国は現在すでに世界一の工業生産国の地位を確立しており、中国経済発展の重要な一歩となった。世界工業構造の変化は、中国のみならず世界経済にとっての歴史的な時である。(筆者:ジョン・ローシー 中国人民大学重陽金融研究院高級研究員)
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単純に工業生産額だけをみて「米国が世界の工業のリーダーでない」という結論か・・・
上記のような記事を見て、経済・経営を良く分かっていないマスコミや評論家は「米国はもう終わり・・・」「中国の世紀が・・・」などと煽り立てるものです。
また、多くの日本人は、「GMの破綻・・・」などといった事象から短絡的に~
「米国は物作りは出来ない・・・」
「米国は金融業だけ・・・」
~といったマスコミのデマカセ情報を信じてしまっています。
(もしかしたら「信じたい。」と言った方が良いのかもしれません…)。
多くの日本人が本気で米国は、「物を作らない」「金融ブローカーしかできない」・・・くらいに思っています。
残念なことに、このような認識は一般国民だけでなく、政治家や企業経営者といった社会を牽引すべき層の人間でも、不合理なほど偏った印象による米国像しか持っていないことに、暗澹たる気持ちになることが多いです。
正しくコンペティターを認識もしないで競争に勝ちぬけることができるでしょうか?
まるで太平洋戦争当時、「米軍など腰抜け、大和魂見せれば逃げてしまうので楽勝・・・」といったイメージを国民が抱いていたのと似たりよったりです。
また、資本主義経済である以上、結局のところ最も重要なのは、付加価値です。
まともな企業経営者ならお分かりいただけるでしょう。
そして、資本主義経済で生きる以上、国家も同様で、国家全体としての付加価値の向上こそが、最も重要な事項・政策の要諦です。
これが分かっている人は・・・
「もうアメリカはおしまいだ・・・」みたいなことを言っているおバカなマスコミ・評論家の近視眼的でセンセーショナリズム本位の記事に騙されたりしません。
なぜなら、付加価値(労働生産性)は、数値化されてその推移などは、統計的に比較が容易でウソをつけませんから・・・。
また、高い付加価値を生み出すのは、必ずしも低賃金の労働ではありません。
特許をはじめとする知的財産権を生み出すような知的生産性が大事です。
毎年ノーベル賞が発表されますが、米国の大学・研究所に関連する研究者が受賞する比率が非常に高い。
なぜなら世界の優秀な研究者は、待遇・研究環境の良い米国にことごとく獲得されているからです。
その結果、米国は、知識集約的で付加価値の高い産業の殆どを手中に収めているのです。
医薬・バイオ・軍事(それを基点とする航空・宇宙)・エネルギー(シェールガス)・情報・通信・ソフトウェア・エンタテインメント・・・。
上っ面でおバカ評論家などは、「金融立国アメリカは崩壊・・・」「自動車ビッグ3が没落しアメリカはもうダメ・・・」などと、その時その時の表面的な事象を捉え、センセーショナルな記事を書き立てます。
(その方が、面白おかしいので雑誌・書籍として売れますから…)
しかし、こんなの経営も知らない経済オンチの大嘘ですから信じると認識誤りますよ。
国家が豊かに成長を続ける為には、そもそも低付加価値であったり・低賃金の国で同レベルの製品を製造できてしまう産業から、構造転換して、より高付加価値な産業に移行していくことこそ重要なのです。
これからの時代は、知的生産性が一番大事であって、知本主義の時代とも言われています。
世界の優秀な知性を地道に、自国に獲得しているアメリカがそんなに簡単に没落することなどありえません。
(比較で考えてもアメリカを凌駕する知的生産性をあげる国はどこなのでしょうか?)
また、製造業は「アメリカはダメで日本が一番」なんて信じ込んでいるトンチンカンな評論家や学者も多いですが・・・
実際のところ、製造業でさえ日本が米国に勝てる分野はわずかであり、トータルで見れば製造業も圧倒的に高付加価値なのは、米国なのです。
中国などは“世界の工場””世界一の工業国”といわれますが、所詮まだまだ付加価値は低く、低賃金を武器にした薄利多売段階(質より量)です。
規模的には立派ですが、労働生産性は低レベル、知的生産性も低水準にとどまります。
まだまだ低賃金を武器に、比較的付加価値の低い分野の産業で勝利している段階に過ぎません。
(ただし、中国が並居る中進国の中で「世界の工場」になれたこと自体、十分スゴイことであることは言うまでも有りませんが!)
いずれにせよ 「米国は、没落する・・・」なんて信じて見くびって、自国の優秀な研究者を米国に流出しながら、低付加価値の労働集約型産業のために、低賃金の外国人単純労働者の受け入ればかりを血道をあげたところで結果は見えていますよ。
低賃金の外国人単純労働者をどんなに入れても出来ることは、本来国内から淘汰されるべき低付加価値な産業を延命させることぐらいですから・・・
そんなことでは、日本の方がはるかに速く没落してしまいます!
国家全体としての付加価値は大きくなりませんからね。
そンなことで豊かになるのは、低賃金の外国人労働者を直接雇う企業経営者だけです。
大多数の労働者の賃金は、外国人労働者の流入により、そのレベルまで落ち、減少していきます。
また「治安悪化」「外国人子弟の増加による公教育の質の低下」「様々な行政コストの上昇」…etcといった社会的な影響は避けられず、普通の国民にとって、より住みにくい社会になるだけで殆どメリットは有りません。
政府の政策が、正しい方向に進もうとしているかどうか、判断に迷うときは、その政策が「国家全体としての(一人あたり)付加価値(労働生産性)を上げる方向に向かっているか否か」が判断基準となるでしょう!
政権がやりがちな土建収賄政策や単純労働移民大幅増といった政策などは、何も意味を持たないことは、もう分かりますね。

数字はウソをつけません。産業政策の成否も明らかとなります。
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<労働生産性の国際比較2012年版/社会経済生産性本部>1.日本の全要素生産性(TFP)上昇率は+0.7%。韓国(+3.2%)を大きく下回っている。
OECD データベースから5年ごとの平均をみると、2000 年代後半の日本の全要素生産性(TFP)上昇率は+0.7%(2006~2010 年平均/年率平均)。2000 年代前半と比べると米国(+0.9%)との差は縮小したものの、2000 年代後半の全要素生産性上昇率が主要国で最も高い韓国(+3.2%)を大きく下回っていることがわかった。
2. 2011 年(暦年ベース)の日本の労働生産性は OECD 加盟 34 カ国中第 19 位。前年から2 ランク上昇。
2011 年の日本の労働生産性(就業者 1 人当たり名目付加価値)は、73,374 ドル(784 万円/購買力平価換算)。換算レートの上昇もありドルベースの名目労働生産性水準は 6%上昇しており、順位も前年から 2 ランク上昇した。ただし、主要先進 7 カ国では 1994 年から 18 年連続で最下位となっている。また、就業 1 時間当たりでみると、日本の労働生産性は 41.6 ドル(4,442円)、OECD 加盟 34 カ国中第 19 位であった。
2011 年度の日本の労働生産性水準は 748 万円と、東日本大震災の影響もあり 2 年ぶりのマイナスとなった。これは、直近のピークである 2007 年度(798 万円)を 6%強下回る水準であり、2008 年度から停滞傾向が続いている。また、実質労働生産性上昇率は+0.3%と、前年度(+3.3%)から大幅に落込んでいる。
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<国際貿易投資研究所
Ⅱ-001 世界各国の輸出額-上位60>
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「米・中・独がダントツで上位3位」ですから。日本は、はるかに離れて4位です。



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- 2014/09/20(土) 00:00:44|
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