<欧州汚すディーゼル車 NO2、濃度悪化 CO2、削減目指し「皮肉な結果」 > 2014.5.29 sankei.biz
中国での環境破壊に対する懸念が高まる一方で、欧州先進諸国の大気汚染も深刻なレベルに達していることが明らかとなった。とりわけ英ロンドンの汚染状況は域内で最悪。大気中の有害物質の濃度はすでに北京を上回る水準だ。こうした“不都合な真実”の背景には、二酸化炭素(CO2)の排出量を抑える目的で普及を進めてきたディーゼル車の存在がある。
◆北京超えるロンドン
コペンハーゲンに拠点を置く欧州環境機関(EEA)が2012年に実施した調査によると、ロンドン中心部のメリルボーン・ロードにある計測装置が示す大気汚染物質、二酸化窒素(NO2)の濃度は1立方メートル当たり94マイクログラムと、欧州各都市の1513カ所中で最も高かった。これに対し、中国環境保護省が発表した13年の北京のNO2濃度は同56マイクログラム。
欧州連合(EU)が基準として定めるNO2濃度の上限は同40マイクログラムだが、12年のロンドンではこれを超えた計測地点が7カ所に上っている。
汚染が深刻なのはロンドンの空気に限らない。
上述のメリルボーン・ロードに次いで12年のNO2濃度が高かった2カ所はいずれも独シュトゥットガルトだった。このほかベルリン、パリ、ブリュッセル、マドリード、ローマ、アテネといった都市でもEUの基準を超えるNO2が検出されている。
EEAで大気の質向上に関するプログラムを統括するアルベルト・ゴンサレス・オルティス氏は「欧州におけるNO2濃度の上昇は、交通量の多い大都市すべてに共通する問題だ。多くの場合、ディーゼル車の増加が汚染の悪化に拍車をかけている」と指摘する。
これは極めて皮肉な結果といえる。というのも軽油を燃料とするディーゼル車の普及は、ガソリン車よりCO2排出量が少ないとの理由から地球温暖化の抑制を掲げるEUが積極的に進めてきた政策だからだ。
EUと自動車メーカー各社は1998年、新製品に関してCO2排出量の低減を目指すことで合意。これを契機に燃料効率のよいディーゼル車の人気が高まった。ロンドンを走る車両に「ディーゼル化」の波が押し寄せたのもこの頃だ。
ロンドンでは中心部に乗り入れる車両からの通行料徴収や自転車のレンタルサービスの拡充、公共交通機関網の整備など大気の質の向上につながる取り組みを矢継ぎ早に打ち出しているが、路上を行き交うディーゼル車から排出される大量の汚染物質の前に効果が薄れている。
ロンドンのジョンソン市長に環境関連の助言を行うマシュー・ペンチャーズ氏は同市の大気汚染について「EUの政策の失敗によるところが大きい。全車両の約半分がディーゼル車という現状では手の打ちようがない。10~15年前は1割に満たなかった」とため息をつく。
◆致命的な判断ミス
非営利団体、クリーンエア・イン・ロンドンの創設者、サイモン・バーケット氏は「歴代政権はディーゼル車が汚染物質を生み出すことを10年以上前に認識していたにもかかわらず、目先のCO2削減効果をたてにこれを放置した。大気汚染の観点からは致命的な判断ミスだったと言わざるを得ない。市民の健康にとって文字通り命取りとなるからだ」と警鐘を鳴らす。
英公衆衛生局が4月に発表したところによれば、ロンドンでは2010年に3389人が微小粒子状物質「PM2.5」による健康被害で死亡した可能性がある。PM2.5はNO2同様に軽油が燃焼する際に発生する。
エディンバラ大学のジェレミー・ラングリッシュ臨床講師は、汚染物質は混在した状態で検出されるため死因をNO2のみに特定するのは困難だと説明。その上で「心臓発作や脳卒中による死者数の増加は大気汚染と関連がある」と断言した。(ブルームバーグ Alex Morales)
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CO2削減だけに着目し、ディーゼルを推進してきた欧州の愚はいよいよ極まってきていますね。
北京より汚い大気って・・・
ディーゼル排気の規制を強化し、不要不急である「ディーゼル乗用車」を激減させてきた日本の方向性が正しかったことがが証明されています。
もし、日本が欧州のようなディーゼル化の道を選んでいたらと思うとゾッとしますね。
中国からの越境汚染だけでも大変なのに・・・
欧州のように、大型車だけでなく、乗用車でさえ半数以上がディーゼル車なんてことになっていたら、一体どんな事になっていたかことでしょう。
日頃は行政の批判ばかりしている日本人も、ディーゼル規制を推進した行政については本当に感謝しなければいけません。
そうでなければ今頃どんな健康被害が起こっていたことでしょう。
そんな経緯にもかかわらず、日本においても、金に目がくらんで今頃ディーゼル乗用車を販売する自動車会社やそのプロパガンダをすっかり鵜呑みにしてディーゼル乗用車を買う輩が増加してきています。
クリーンディーゼル車問題ほど、その人の「洗脳されやすさ」が判断できる問題は有りません。
クリーンディーゼル車を販売する自動車会社は~
「環境にやさしい・・・」
「低燃費・・・」
「排気がクリーン・・・」
~等々とお抱えの評論家やCM・雑誌・Webを通して、プロパガンダを垂れ流し続けてきました。
しかしながら、理性的で情報を正しく分析できる人ならご承知の通り、自動車会社が垂れ流す「クリーンディーゼル」のプロパガンダは、大前提があるのです。
そもそも「クリーンディーゼル」における「クリーン」とは、絶対的な「クリーン」では有りません。
それまでのディーゼル車(「ダーティディーゼル」)に対して「クリーン」だという事です。つまり、欧州のように「ダーティディーゼル」車が大量に存在している所であれば「クリーンディーゼル」というのもあながちウソでは有りません。
まあ、「ダーティディーゼル」車をやめて「クリーンディーゼル」車に乗り換えることは相対的には「クリーン」だと言えるでしょう。
本来は、環境のことだけを考えれば、ハイブリットやEVなどを推進する方がもっと「クリーン」なのですが・・・
現実的には欧州で普及してしまったダーティディーゼル乗用車を代替できるような価格でHV車やEV車を提供できる自動車会社が欧州にはありませんので、当面の現実的な選択肢として「クリーンディーゼル」を販売するしかありません。
それでは、日本においてはどうでしょうか?
ディーゼル乗用車がほとんど無くなっている日本において「クリーンディーゼル」車に乗り換えるという事は、当然ガソリン車やハイブリット車から乗り換えることになります。
これでは、ガソリン車やハイブリッド車という、そもそもディーゼル車より「クリーン」な車が減ってしまい、構造上不完全燃焼が避けらず「ディーゼル排気微粒子(DPM)」の発生が避けられないディーゼル車が増えてしまいますので、環境に「ダーティ」であることは明らかです!
「クリーンディーゼル」を販売する自動車会社にしてみれば、日本においては「クリーンディーゼル」など本当のところ「ダーティ」に過ぎないことなど承知の上ですが・・・
営利企業ですから、そんな本質論はともかく、欧州向けに作った「クリーンディーゼル」を日本でも売れば、金が儲かりますから当然売ります。
儲けの為には「日本の大気汚染のことなど知ったこっちゃない!違法でもないしね!」というのが本音の所。
しかしながら、ガソリン車・HV車では吸わされずに済んだ 「ディーゼル排気微粒子(DPM)」を吸うことになる日本人の一人としては、勘弁してほしいですね!
マスコミ・自動車評論家等々にとって自動車メーカーは、大事なスポンサーですから少なくとも日本においては「クリーン」でも何でもないクリーンディーゼル乗用車を自動車メーカーの意向に沿って「クリーン」「クリーン」とこぞって喧伝します。
ディーゼル車の本場である欧州の大気汚染の惨状を大きく報道することは有りません。
<消費者は宣伝に踊らされず「正しい選択」を!> 本当は日本においては、全く「クリーン」でも何でもない「クリーンディーゼル」をメーカーの宣伝に乗せられて、ホイホイ買うおバカな消費者が存在することは、残念でなりませんね。
このままおバカが順調に増加して、「クリーン」ディーゼル車が何千・何万台になった暁には、幹線道路の住民の健康被害は幾何になることか・・・
今こそ消費者の正しい選択が求められています。

ディーゼルエンジンの特徴・実態・影響・・・くわばらくわばら! 欧州と違い本当にクリーンなHV車も同様な価格で買えるのに「クリーンディーゼル」買う輩って周囲にPM2.5吸わしたいのかね?マッタク!
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< 朝日新聞・朝刊 2008-10-16 嵯峨井勝(さがいまさる)青森県立保健大 客員教授の投稿の一部>
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一つは、ディーゼルは、不完全燃焼を基本とするエンジンゆえの宿命的な欠陥があることだ。高圧で燃料を噴射することで燃焼効率を向上させた。PM(ディーゼル粒子)は霧状になり黒鉛は出なくなったが、かわりに目に見えない粒子径 0.1マイクロメートル以下の微小(ナノ)粒子の数が数万倍以上に増えている。粒子が目に見えなくなっただけなのだ。
数マイクロメートルのPMは呼吸器に入り、ぜんそくなどを引き起こすことが知られていたが、ナノ粒子は呼吸器を介して血管の中に入り込み、心臓を初めとする循環器系、脳・神経系や生殖器にまで侵入することが、最近の動物実験で証明されてきた。東京理科大と栃木臨床病理研究所の研究チームは妊娠中のマウスの母親にディーゼル排気を吸わせ、ナノ粒子が胎児の脳に侵入していると証明した。
米国や欧州では微小粒子が心疾患罹患率や死亡率を高めることが疫学調査で明らかになり、2.5マイクロメートル以下の微小粒子(PM 2.5)の環境基準が設定されている。米国の基準を日本に当てはめると、幹線道路沿いの測定局の大半が基準をオーバーしていしまう。
私たちは国立環境研究所や大学で動物実験をしたが、超微小粒子を血管や気道の表面をお覆っている細胞といっしょに試験管のなかで培養すると、膨大な数の粒子が細胞内に取り込まれ、細胞が死滅することを確認した。
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クリーンじゃないディーゼルの方が良かったのでは?と思えるほどです!
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<【環境問題基礎知識】 大気中超微小粒子(ナノ粒子)と心疾患 鈴木明> 国立環境研究所
はじめに
最近,50nmより小さい超微小粒子(ナノ粒子)が大気中に浮遊していることが判明しました。このナノ粒子の環境中の分布を解析すると,健康影響の少ないように改良あるいは開発してきたディーゼルエンジンから発生していることが分かりました。こうしたナノ粒子は,呼吸の時に肺の細胞の隙間やガス交換にまぎれて体内に入り易く,健康影響を引き起こす可能性が高いことから,迅速な健康影響の解明が求められています。ここでは,ナノ粒子の概念とナノ粒子を多く含むディーゼル排気粒子の心臓への影響について説明します。
ナノ粒子とは
それではナノ粒子とはどの位の大きさなのでしょうか?50nmよりも小さい超微小粒子と書きましたが,1nm(1ナノメートル)は10億分の1メートルと決まっていますので,50nmの大きさの物でもあまりにも小さくて,光学顕微鏡では見ることができず,電子顕微鏡やX線を使用した装置で見るしかありません。生物学的には小型のウイルスの大きさになります。しかし,大きさの実感をつかむことは難しいと考えられます。そこで,図1に地球の大きさ(直径)を1mと仮定して1nmの粒子の大きさを模式的に描いてみました。地球の赤道周りの直径は約12,750kmですので,その10億分の1は12.75mmとなり,小さめのビー玉にほぼ近い大きさになります。そこで,我々の体で相対的に考えますと,外界の刺激から体内の環境を守る皮膚の細胞と細胞の隙間は約51cmと計算され(実際には40nm),直径約7ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)の赤血球は直径89.25mの巨大な円盤となります。したがって,20~30nmの粒子は,25.5~38.3cmの大きさに相当するので,約51cmと計算される皮膚の細胞の隙間に入りこむことができ,美容の世界でその大きさの粒子の応用が考えられています。また,工業の世界では,ナノサイズの材料を使用した様々な分野への応用が研究されており,ナノテクノロジーと言われるようになりました。
図1 1ナノメートル粒子の大きさ(地球の大きさと比較してみよう)(拡大表示)

2004年に開かれた欧州ナノセイフティー会議では,ナノテクノロジーの発達に伴うナノ粒子の健康影響を考慮して,従来ウルトラファイン粒子( 超微粒子) と言っていた100nm以下の大きさの粒子をナノ粒子と定義しました。しかし,国立環境研究所と日本の自動車工業会では,大気環境中の浮遊粒子の大きさやエンジン排気粒子の大きさを考慮して50nm以下の粒子をナノ粒子と呼ぶことにしました。
ディーゼル由来のナノ粒子の健康影響
それでは,なぜ,ナノ粒子の健康影響が心配されているのでしょうか?ナノ粒子の健康影響を述べることは,ナノ粒子の大きさ,形,固体か液体かなどの粒子の性状が異なるため,大変難しいと言えます。そこで,ここでは,現実的に大気環境中で観測されるディーゼルエンジン由来のナノ粒子の健康影響について考えてみます。
これまでのディーゼル排気粒子(DEP)は,100~400nmにその直径のピークを持ち釣鐘状の粒径分布を持つ表面が凸凹した球形の粒子が多く,その粒子の主体は炭素でした。このため,ディーゼルエンジン車の排気管から黒いススが出るのが見えました。当然,排気ガス中には,燃焼しないエンジンオイルや燃料,燃焼でできたガスや多数の化学物質が含まれ,粒子の表面に付着するものも多かったのです。しかし,ディーゼル由来のナノ粒子は,重さは極めて軽いのですが,ディーゼル排気の1cm3(1立方センチメートル)の中にナノ粒子を10万個から100万個ほど含みます。したがって,排気管からススは見えず,油煙のようなものが見えるようになりました。
図2は,粒子の大きさと呼吸器内での捕捉の仕方を模式的に示しています。この図では,花粉のような大きな粒子は粘膜に衝突して鼻やノドに付着しますが,小さな粒子ほど沈降作用によって,小さな気管内に入り込み,ナノ粒子の様に小さい粒子はガス拡散作用によって,肺胞まで到達することを示しています。したがって,これまでのDEPが気管支や細気管支レベルでほとんど捕捉されるのに比較して,ナノ粒子は細気管支を通り抜け,最終的には肺の最深部の肺胞まで達すると考えられています。肺胞では酸素と二酸化炭素のガス交換をしておりますので,ナノ粒子はガス交換にまぎれこんだり,呼吸運動によって肺胞壁の隙間を通過して血管に入り,心臓・血管系(循環器)を介して全身に廻ることが推測されます。特に,心臓は,肺を循環した血液を左心房に受け入れ,左心室から血液を全身に送り出しますので,肺に入った微粒子が高濃度で一番最初に入り込む臓器が心臓なのです。したがって,一番影響を受け易い臓器と言えます。
図2 吸入されたナノ粒子の胚内での沈着と動き(拡大表示)

国立環境研究所では,ナノ粒子の多いディーゼル排気やナノテクノロジー由来のナノ粒子の健康影響の解明のため,2005年に5階建てのナノ粒子健康影響実験棟を建設し,ナノ粒子の健康影響の研究を行なっています。特に,ナノ粒子の多いディーゼル排気を動物に暴露する装置は世界最大級と言われ,一度に288匹のラット(マウスでは480匹)を暴露することができます。
まとめ
本稿では,ナノ粒子と健康影響の観点から,現実に大気汚染として観測されるディーゼル排気由来のナノ粒子と心臓の関係について説明しました。そこで,ナノ粒子を多く含むディーゼル排気粒子が,心臓や循環器に影響することが示唆されました。しかし,その詳しいメカニズムや神経系に対する影響を明らかにするためには,今後,詳細な研究が必要と考えられます。
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- 2014/08/17(日) 00:00:05|
- 環境破壊・エコ
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