<メディアも悪乗りした「いつかはゆかし」の罪> (東洋経済オンライン 鈴木 雅光 :JOYnt代表 2013年10月19日
1年で急成長。マスコミやFPの責任は?
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(はじめに)これは週刊東洋経済10月19日号からの転載で、内容は同記事執筆時点のものです。金融庁は10月11日、アブラハム社に対し、6カ月間の業務停止命令を発出しています。なお、記事後半のIFA JAPANに対しては「3カ月の業務停止命令」、K2 Investment に対しては「1カ月の業務停止命令」の処分を明らかにしています。
「いつかはゆかし」という一風変わったブランド名で昨年10月から派手な広告を展開していた「アブラハム・プライベートバンク」。関係者の間で疑問視されていたこの特異な金融サービスの素性が、ついに明らかになった。
10月3日、証券取引等監視委員会が無登録で金融商品を販売していたなどと正式に行政処分を勧告。当初は反論していたアブラハム側も監視委の勧告を受け入れる方針を公表したため、10月中にも金融庁は6カ月以内の業務停止を含む厳しい処分を下す見通しだ。
アブラハムは「1億円を貯めよう」などのキャッチフレーズで、海外の複数のファンドラップ商品(複数のファンドを組み合わせて運用する金融商品)を紹介。高い利回りにより安心の老後を送ることができると宣伝してきた。
この投資助言に対し、アブラハムは顧客から預かり資産の約1%の手数料を取っていた。アブラハムの言い分は、1%の手数料以外には何も得ていない、というものだった。これが事実であれば投資助言業者としての適法業務だが、事実はまったく違っていた。
今回の行政処分のポイントは、アブラハムが投資助言業者のライセンスしか持っていないにもかかわらず、金融商品を販売したと見なされる営業行為を行っていたことだ。
具体的には、英国マン島に本拠を置くハンサード社の「アスパイア」というファンドラップ商品を購入するよう、顧客を誘導。契約額に応じた報酬を得ていた。
特定の会社から報酬を得れば、金融商品の販売行為に該当する。金融商品販売業者としてのライセンスを持っていないアブラハムは、海外ファンドを「無登録販売」しており、これが証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反と判断された。
解約すると全損に
今後の焦点の一つは「いつかはゆかし」の約2800人の顧客と、170億円に及ぶ契約残高の行方。アブラハムの経営姿勢に嫌気が差して契約解除を考える顧客も増えていくはずだ。
しかし、足抜けするのは容易ではない。この手のファンドラップ商品の一般的な特徴でもあるのだが、ハンサードのアスパイアは、運用開始から2年以内で解約した場合、積み立てたカネは顧客の手元に戻ってこない契約になっているのだ。「いつかはゆかし」は昨年10月に販売を始めたばかりであり、すべての顧客が2年未満。解約を申し出ても、積み立てたカネは戻ってこない。戻ってくる可能性があるのは、アブラハムに支払っていた手数料くらいだ。
仮にアブラハムが業務を継続できない状況になったとすれば、契約を解除するにしても、自分でやらなければならない。それも、相手は海外の会社なので、手続きはすべて英語。語学力のない人にとって、これは非常に厳しい。
今回、アブラハムは投資名目で集めた資金を遊興のために費消していたわけではなく、この手の事件では一般的な詐欺罪の適用は現実的ではない。しかし顧客の立場から見れば、詐欺にあったのと同様の悪質さと言えるだろう。
それにしても、なぜ多くの顧客がアブラハムの宣伝を信じたのだろうか。「利回り15%」などの誇大な広告を見れば、直感的にまゆつばものだとわかりそうだ。それでも多くの顧客を獲得できた理由は、メディアを徹底的に活用した点にある。
昨年10月に「いつかはゆかし」を発売して以降、新聞、投資雑誌、テレビなどのマスコミにタイアップ記事を掲載するだけでなく、電車のドアに張り付けられた車内広告、都内高層ビルでのデジタルサイネージ、JR東京駅構内での大型広告など、大規模なプロモーション戦略を展開した。推進したのは、最大手の広告代理店だ。
こうしたメディアを活用した派手なプロモーション戦略だけでなく、アブラハムはさまざまな手練手管を駆使し、自社のビジネスの正当化を図ろうとしていた。
たとえば、広告塔の存在だ。アブラハムのグループ会社である「海外投資新聞」のサイトには、竹中平蔵・慶應義塾大学教授、岩田規久男・日銀副総裁(当時は学習院大学教授)をはじめとする著名人が顔をそろえている。
一般の人の家計相談やアドバイスを行っているファイナンシャルプランナー(FP)の中にも、アブラハムを応援するメッセージを、自らのブログに書きつづっていた人がいる。海外ファンドに投資する際の注意点といった一般的なエクスキューズを入れながらも、「いつかはゆかしに共感」、「いつかはゆかしの魅力的な点」など、結局のところ同社の魅力を打ち出した歯の浮くような記事をブログに掲載していた。
この手のブログの一部は、今回の行政処分のニュースを受けて、「一部報道にもとづき、事実関係が確認されるまで掲載を停止しております」としているものの、多くは掲載されたまま。日本FP協会が認定しているCFP(上級ファイナンシャルプランナー)の有資格者にしてこの体たらくである。
短期間でアブラハムが急成長した背後に、マスメディア、FPの下支えがあったことは紛れもない事実。今後、検証がなされていく必要があるだろう。
報酬はSTI経由で還流
証券取引等監視委員会はアブラハムとほぼ時を同じくして、IFAジャパン(代表:荒川雄一氏)、K2インベストメント(代表:河合圭氏)にも行政処分勧告を行った。アブラハムと同様、海外のファンドラップを無登録販売したことが問題視されており、やはり業務停止命令が下されることになりそうだ。
ただ、アブラハムと2社のスキームには大きな違いがある。アブラハムは、
図のように販売報酬を還流させるための複雑なスキームを構築している。ファンドラップ会社からの報酬を、バージン諸島に設立した「サゲイシャス・トレンド・インターナショナル(STI)」という海外の関係会社で受け取り、その資金をアブラハム・グループ・ホールディングス経由でアブラハムに還流させていた。
こうした複雑な資金還流スキームを構築しておきながら、所得に対して誠実に税金の申告をしていたのかどうか。全容解明には時間を要することになりそうだ。(週刊東洋経済2013年10月19日号)
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前回に引き続き、いかにマスコミが垂れ流す情報を鵜呑みにしてはいけないかの実例です。
カネさえ貰えばマスコミは、何の検証もなく法令違反必至のイカサマに加担し、ステマ行為に及ぶことは上記の記事でも明らかです。
ダマされた人にしてみれば、大手のマスコミですら推奨していることで安心して投資してしまった人も多いのではないかと思います。
安愚楽牧場の和牛投資なども似たような構図でしたが、イカサマ商法のステマに加担したマスコミは、自分たちは広告料等でしこたま儲けながら・・・残念ながら罪に問われることもなく、被害者に損害賠償もすることは一切ありません。
あくまで「広告掲載しただけ!」と逃げ道は万全。
いつの日にか、悪徳商法のステマに加担し、消費者に対して悪徳商法の権威付けをするような行為も不法行為とする法を制定して欲しいものです。
愚痴はさておき。
現状では、やはり消費者自身が「大マスコミに掲載されよう」が、「広告塔」が何を言おうが・・・
常識的な理解力・判断力を持って正しい選択(ダマされない)をするしかありません。
<このような金融犯罪に加担したCFPは資格はく奪すべきでしょう!> マスコミや広告塔の芸能人などを罰したり、損害賠償させることは難しいことは、致し方ない所でしょうが・・・
CFPに関しては、資格である以上、処分が必要なのではないでしょうか?
FP協会はそのHPで、CFPについて以下のように高らかに謳っています~
「CFP®資格は、北米、アジア、ヨーロッパ、オセアニアを中心に世界23カ国・地域(2013年2月現在)で導入されている、「世界が認めるプロフェッショナルFPの証」です。認定要件の「4E(教育=Education、試験=Examination、経験=Experience、倫理=Ethics)」と、実務プロセス指針であるファイナンシャル・プランニング・プロセスの「6ステップ」のコンセプトに基づき、世界で認められた共通水準のファイナンシャル・プランニング・サービスを提供できる証明です。CFP®認定者は、高度な知識と経験をもって長期的かつ総合的な視点で適切なアドバイスをし、他のFPの規範となる確固たる職業倫理を身につけているプロフェッショナルとしてCFP®資格を認定されています。国内ではNPO法人日本FP協会が資格認定する「FPの頂点」とも言える資格です。」
~と。
ここまで謳い上げた資格者「CFP」がその資格の権威付けを持って、こんなトウシロウでも分かるような不法な金融商品を推奨していたわけですから・・・
カネに目が眩むにもほどが有る!
倫理感とかないのかしら?
法的責任が有るかどうかは別問題として、少なくとも~
「道義的責任」
「社会的責任」
「資格者としての倫理的責任」
~は、免れないのではないでしょうか
せめて被害者の為にも、資格団体としては、このような行為を行った資格者に対して処分の必要があると思います。
こんな事をしでかしても、何の沙汰もないようでは、そんな資格には信用性など無くなるでしょう。
個人的には、こんな連中は資格はく奪が相当だと思いますがね。
業務独占資格でもないので「CFP」をはく奪されたところで「CFP」を名乗れなくなるだけで、当人にとってもやったことに対する制裁として軽すぎるぐらいのものに過ぎません・・・
そもそもこんな不法商品推奨していること自体がCFPとしての資質が無い!
FP協会には厳正なる処分を断行してほしいですね。
・・・しかし、こう言いながらも、FP協会は恐らく何らの処分も下さないと思います。
そして、このCFP連中もこれからも「FPの頂点“CFP”でございます!」とノウノウと営業し続けていくことでしょう。
結局、消費者自身「CFP」なんて連中の話は話半分に聞いて、決して鵜呑みににしないことですね。

こちらに今回の「ゆかし」を推奨していたおバカさんたちをまとめてくれていますのでご覧になられておいた方が良いでしょう!
↓
「いつかはゆかし」を善良な市民に紹介した、無責任なフィナンシャルプランナー達まとめ


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- 2013/11/30(土) 00:00:02|
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