
当ブログでは、資格ビジネスについて、継続的に取り上げ警鐘を鳴らしております。
昨今のように不景気になると、サラリーマンのリストラ等に備えての自己防衛としても「資格」が注目されます。
しかしながら、そもそも資格ビジネスは、肥満・美容整形・カツラ・・・といったコンプレックス産業と同様の構図の産業です。
多額の広報宣伝費を使って、顧客のコンプレックス・不安を煽りたて、自分達に都合の良い情報だけを、マスコミを通じて撒き散らします。
資格ビジネスの大半は、誇大広告であり、実際の費用対効果は、非常に低いというのが実態です。
最近は、いわゆる「漢検問題」によって資格ビジネスというものが、想像以上に適当に運営されていて(官民の癒着・天下り団体・非営利に伴う税優遇、継続教育といった名目による不合理な維持費用徴収・・・)、不当に暴利を貪っているビジネスかが、国民にあらためて周知されてきており、「資格」ブームに熟考を促す良い機会になってくれればと考えています。
特に、これから資格を取得しようという方は、資格ビジネスの現実を知り、皆さんの前向きの気持ちを無駄にすることなく、悪徳資格ビジネスに騙されることなく、後悔しない資格選びをしてください!
<コラム:日本語で取れる「国際資格:CFP」> 個人的に、数ある「資格ビジネス」の中で驚嘆しているのは、FP協会の「CFP」です。
資格ビジネスの‘最終進化形’と言えるのではないかと私は考えています。
あらゆる「資格ビジネス」における最強の収益モデルと言っても過言ではないでしょう!
資格を認定しているような団体は、大体天下りの官僚体質で、殿様商売・商売下手な場合が多いのですが・・・ここは別。
ビジネスに対する嗅覚が、鋭敏です。
商売下手な資格教育スクールなどは、足元にも及ばないビジネスセンスがあります。
(そもそもダイヤモンド社会長だった坪内嘉雄氏=FP協会初代理事長ですから、まあ何をかいわんやということですが・・・)
※「資格ビジネス」における最強の収益モデルとは・・・ FPに関する資格は、「FP技能士」という国家資格ができましたので、通常の場合、同分野の既存の民間資格は、統合されて無くなるのが普通です。
しかしFP協会は、民間資格(AFP・CFP)をあえて残しました。
しかし、これだけでは、国家資格でない民間資格など、あまり相手にされなくなるところです。
↓そこでAFPは、実際は、民間資格にすぎないのですが、試験を2級FP技能士を流用するという形で、国家資格と何か関連あるかのような、絶妙のリンクをかけたのです。
(本当は、まったく別個の民間資格なのですから、まったく別の試験をするのがスジなのですが、このやり方だと国家資格の試験を1回開催するだけで、民間資格AFPの試験も実施したことに出来てしまうので、試験コストは半分になり、FP協会としては一石二鳥。)
そして、試験は、2級FP技能士試験を流用し、認定講習・継続教育等の付録を追加することで、認定者から認定講習代や年会費等を徴収するかわりに、「AFP」という、なにか国際資格かのような体裁の良い名称の民間資格を名乗る権利を与えます。
「CFP」に関しても、「CFP」自体は、民間資格なのですがCFP認定者は、「1級FP技能士」の学科試験は、免除されます。
「AFP」のように「2級FP技能士」試験と一緒とまではできませんでした。
しかしながら、単なる民間資格を取得するだけで1級FP技能士という「国家資格」の二つの試験(学科試験・実技試験)のうち一つ(学科試験)だけでも免除されるというのは、大きな魅力でしょう。
「FP技能士」の国家資格化における利害調整の結果のイビツな姿とはいえ・・・まったくの民間資格と国家資格がここまでリンクしているというのは、前代未聞では?
他に例があるとしたら、皆様ぜひ教えてください!
↓ これだけでも、十分すごいのですが、CFPは「国際資格」でありながら、なんと‘日本語’で受けられるのです。
これを皮切りに、このやり方を踏襲し、米国発の英語三文字資格で日本語で受けられるものが増加してきました。
皆様も名称と実態に十分注意を払った方が良いですよ!
しかしながら、「日本語で取れる国際資格」という離れ業は、本当に「資格ビジネス」としては尊敬に値します。
コペルニクス的展開といえます。
今まで、「国際資格」を取るということは、まず、そのレベルまで、英語を使いこなせないといけなかったのですが・・・日本語で取得できるのです。
「国際資格が日本語で取得できる!」これは、笑ってしまうぐらいスゴイ「売り文句」ですね。
この「CFP」は、資格ビジネスの世界に新しい地平を開いたと思いますね、正直。
そんな「CFP」ですが、ほめすぎましたので、苦言を呈するとすれば、「CFP」は日本語で取得できる国際資格ですが・・・
「CFP®認定者は、米国及びFPSB加盟国・地域のCFP®認定者と同等に評価され、
日本で認定されたCFP®認定者であることを明示することにより、日本国外においてもCFP®商標を使用し業務を行うことができます。」(FP協会の旧サイトより引用→現在は記載変更してしまいました。詳しくは下記コラム参照)
つまり、日本語で取得できるかわりに、仮に取得しても、米国で名乗る際には、「私は、CFPです。」とスッキリ名乗ることは出来ず。
「私はCFPですが、
あくまでも日本で認定されたCFPです。」と注釈付でなければ契約違反になってしまいます。
当然といえば当然ではありますが、私もジックリ調べるまでは、そんなふうに思っていなかったのでガッカリ!
これでは、私には“国内資格”となんら変らないように思えてしまいました。
結局、何の注釈も無く「私は“CFP”です。」といえるのは、日本国内だけなんですから…。
(こんな国際資格ってほかにも有るのかしら? 知っている方がいたら教えてください!)
ホントのところ事実上、ごく普通の人がイメージするような“国際資格”では有りません。
だってアメリカ行ったら、「日本のCFP」に過ぎないんですから…。
この実態で「国際資格、国際資格…」と宣伝しまくるのは、法的な問題は無いのでしょうが・・・一般の消費者のごく普通の語感とズレ過ぎていて、道義的にはかなり問題があると言えますね。
こんな実態を知って私は、取得するのをやめました。
もし「CFP」が必要なときが来たら、私ならCFP資格のお膝元:米国で取りますね。
「私は、CFPです。」と素直に名乗れるように…。
実はCFPを取得している人でもこのことを正確に理解している人は、非常に少ないです。
「CFP」資格は、米国資格の商標を許諾使用して、日本で展開するといういわば「資格のフランチャイズビジネス」のようなものです。
あくまで日本国内で認定された「CFP」は、日本国内での商標の使用許諾を得ているだけなので、他国ではそのことを正しく注釈しないと「CFP」という名称を使用できないのです。
アメリカで「I am CFP.」なんてストレートに注釈なしで表現して、いい気になってFP業務を行なって、訴訟されない様に気を付けましょうね!
そもそも、こんな注釈つけなくてはいけないこと自体、個人的には“国際資格”という言葉と実態のギャップが、大きすぎると思います。
これじゃ、弁護士が、アメリカへ行き、「私は、日本の弁護士です。」というのと実質的な違いはないじゃないですか。
個人的には、“国内資格”と呼んだほうが、正確に実態を示しているとは思いますがね・・・
いずれにしても、資格取得者がこのことをどう考えるかは、人それぞれでしょう。
本当のところ、日本の「CFP」の大半は、英語も出来ないし、欧米でFPをやる気も無い人間ですから、“真”の「国際資格」である必要は、さらさら無いともいえるでしょう。
逆に、日本語で簡単に取得できる上に、顧客には「わたしは“
国際資格”取得者でござい・・・」と大っぴらに喧伝できるので・・・FP協会と大半のCFP取得者の利害は一致しているといえます。
ですから、このことはFP協会とCFP取得者の間では、全く問題にすらされないというのが実態です。
しかしながら、“CFP取得者”・“FP協会”は、それで良いでしょうが・・・
「この人は、CFPとかいう“国際資格”をもっている英語に堪能で、最新の米国金融に詳しいお方だ・・・」と思ってしまう素直な「顧客」にしてみれば、堪りません。
特に、横文字に弱いお年寄りなどは、一発でだまされてしまいますね。
まあ、名乗る側としては「私は英語が出来るとも米国の金融に詳しいとも言ってませんよ!!」、勝手に「英語が出来る、最新の米国金融に詳しい・・・」と思った「顧客の側がいけないでしょ!」と言うことなんでしょうが・・・
※マメ知識:「イメージどおりの“国際資格”ってないの?」※金融機関のお客様方へ
あくまで私見ですが・・・金融機関がらみの英語三文字資格で顧客からみて信頼にたる“
国際”資格は、「CFA」ぐらいではないかと思います。
「CFP」と同じような名前ですが、「CFA」という資格は、現地と同じ試験を英語で受検する形をとり、米国の会計・金融知識も十分担保されています。
ごく普通の人が「
国際資格」と聞いてイメージするとおりの資格で、金融業界では非常に高く評価されています。
顧客の皆様も大事な自分の資産に関わることですから、金融機関の社員が「私は、
国際資格持ってますから・・・」などと言われた時の為に、いわゆる「
国際資格」について最低限の知識をもたれることをオススメします。
一般の人は、「国内資格」については、「医師・税理士・弁護士・教師・・・」国家資格者に日常的に接していたりということも有り、著しく乖離した認識は、持っていない場合が多いです。
しかし、「
国際資格」に関しては、そもそも定義がいい加減な上に玉石混淆がヒドク、日常生活において国際資格取得者との接触もありませんから、どうしてもイメージ先行で、その「
国際資格」の実態とは、まったく乖離したイメージを持っていることが珍しくありません!
<国際資格はピンキリのヒドサを知っておきましょう!> 金融機関の顧客の皆様「英語三文字資格を持っています・・・」と言われても、絶対に「この人は、英語が出来る・・・、米国の金融知識に詳しい・・・」なんて勝手に思い込んではダメですよ!!
いわゆる「
国際資格」は本当にピンキリですから・・・。
顧客が、勝手にそのように思い込んでくれることこそ、
「日本語で取れる国際資格」のネライなのですからね・・・!!
<コラム>※FP協会の情報公開の姿勢に問題~CFPの国外での商標使用についての適切な説明がサイトから無くなってしまった件~ 以前はFP協会サイトでのCFPについての説明文中には、以下のようにCFP商標の国外使用について、適切な説明が記載されていました。
(旧サイトの記載)「CFP®認定者は、米国及びFPSB加盟国・地域のCFP®認定者と同等に評価され、
日本で認定されたCFP®認定者であることを明示することにより、日本国外においてもCFP®商標を使用し業務を行うことができます。」
↓ところが、現在のFP協会のサイトでの記載は、以下の通りです!
(現サイトの記載)「北米、アジア、ヨーロッパ、オセアニアを中心に世界23カ国・地域(平成25年2月現在)で認められた世界水準のファイナンシャル・プランニング・サービスを提供できる、プロフェッショナルであることを証明する上級資格です。2年毎の資格更新に所定の継続教育が義務付けられています。国際CFP組織FPSBとのライセンス契約の下に日本FP協会が認定しており、約18,841人(平成25年2月現在)が日本全国で活躍しています。」

商標国外使用についての説明が全く無くなってしまいました???
CFPを受験するような層は、知財法務については、疎い人がほとんどでしょうから・・・
「~国際CFP組織FPSBとのライセンス契約の下に日本FP協会が認定しており~」との記載だけで、
「日本で認定されたCFP®認定者であることを明示することにより、日本国外においてもCFP®商標を使用し業務を行うことができます。」という使用許諾契約であることを、どれだけのCFP認定者が、正しく理解できるのか?
甚だ疑問ですね・・・
こんな言葉足らずの説明では、日本国外でも「私はCFPです」と注釈なしで名乗っても問題ないと理解してしまう方が、普通ではないでしょうかね?
また、認定者だけで無く、CFPについて、このサイトを見て知ろうとする人に対する説明としても、以前のキチンとしたもの比べると、商標国外使用について言及されなくなってしまっており、不十分と言わざるを得ません。
一体なぜ、従前は十分な説明が記載されていた「CFP商標の国外使用に関する説明」を著しく後退させ、言及しなくなったのでしょう?
そこには「CFP商標の国外使用に関する説明」を適切に行えば行うほど・・・
CFPにおける「国際資格の意味」≒「認定された国内における商標の使用許諾」ということが、広く浸透してしまうことに対するFP協会の「危機感」が反映しているように思えます。
そもそもCFPという資格は、世界で統一した試験が行われるわけでもなく、試験言語も統一されているワケでも有りません。
そもそもFPという業務自体が、各国の経済諸制度(社会保険・資本規制・業界規制等)や法制度に左右されるため・・・各国の認定団体が、それぞれの国情に合わせたFP試験を行うしかないとも言えます。
そして各国の認定組織は米国でネームバリューのある「CFP」という商標の当該国内における使用許諾を得て、自分たちの資格に権威付けしているというのが現実です。
結論・・・CFPという資格の肝(重要事項)である商標の使用許諾について「国際CFP組織FPSBとのライセンス契約の下に」とだけしか記載せず、その契約内容についてサイトで全く言及しないのは、資格認定団体の資格に対する情報開示・説明責任としては、かなり疑問を感じざるを得ません。
特に、以前はキチンととサイトにも記載して説明していた事を考え合わせると非常に恣意的で疑問が残ります・・・
「国際資格」という漠然としたイメージが、商標の国外使用について適切に説明することで「日本国内においてしかCFPの商標を注釈無しでは使用でき無いこと」がクリアになってしまうことを恐れているのか?と邪推してしまいますね。
「コンプライアンス・・・」
「説明責任・・・」
~と情報開示に厳しくなっているこの時代に逆行するかのようなこの協会の姿勢には疑念を感じざるを得ません。

資格ビジネス先進国の米国は、悪辣な“資格”ビジネスも先進国です。
「国際資格」関連で、昔からある古典的な「国際資格」問題をご紹介して締めたいと思います。
↓
【『ディプロマ(ディグリー)・ミル』問題とは】
実際に就学せずとも金銭と引き換えに高等教育の「学位」を授与する(と称する)機関・組織・団体のことであり、その活動は学位商法とも呼ばれる。転じて、アメリカのスラングで、入学卒業が非常に容易な大学を皮肉をこめてこう呼ぶ。
************************************************************
<「ディプロマ(ディグリー)・ミル」問題について> /文部科学省HP
1.米国における背景
○米国において少なくとも19世紀後半からある非正統的な傾向を示す教育機関を称して呼んでいるもので、厳密な学問的な定義はない。
○また、米国連邦教育省のホームページにある米国教育情報ネットワークにおいても、ディプロマ・ミルという用語に何らかの法的意味があるわけではないとされている(http://www.ed.gov/NLE/UNNEI/us/accred-fraud.html)。
○ディプロマ・ミルは米国以外にも存在するが、特に米国は高度資格社会であり、雇用者側も教育資格を極めて重視しており、就職、転職にあたり、より高次の学位や証明書等を有することが有効である。そのため、安易に学位等を取得できる手段として、ディプロマ・ミル(ディグリー・ミルとも呼ばれる)の偽学位販売業のサービスが活用される温床がある。
○また、米国は、教育は各州の権限に属し、各州の認可等の制度があるものの、州毎にばらつきがあり、簡易な手続きや基準により大学設置が可能な州もあることから、そうしたばらつきを補い、米国の大学の質保証に重要な役割を果たしているのが民間団体によるアクレディテーション(適格認定)である。こうした複雑でわかりにくい教育制度について正確な知識を持つことを一般の人々に期待することが容易でないことも、ディプロマ・ミル問題の背景になっている。
○昨今のオンライン教育の隆盛を背景に、オンライン・ディプロマ・ミルが登場し、またアクレディテーションを受けているか否かが正統な教育機関としての証明となりうるために、品質保証の裏付けのない認定を行うアクレディテーション・ミルも米国等で見受けられるような現状にあるため、米CHEA(Commission for Higher Education Accreditation)では以下のような指標を公表(2003年5月)している。
・ディプロマ・ミル:贋物の証明書や学位を与える、信頼に値しない教育ないしそれに類する事業の提供者
学位が金で買える
その証拠がないのにアクレディテーションを受けているような言及がある
怪しげなアクレディテーション団体から認定を受けているような言及がある
連邦や州の設置許可を受けていない
学生の出席要件が(あれば)小さい/学生の単位取得要件となる課業量が少ない
学位取得までの期間が短すぎる
経験や履歴書だけで学位が取れる/逆に正統な教育を行うにしては経費が安い
キャンパスないし事務所の住所が示されていない=私書箱しかない
教員の名前や肩書きが公表されていない
有名大学と似た名前がついている
その証拠がないのに出版物があるような言及がある
・アクレディテーション・ミル:贋物のアクレディテーションや品質保証ないしそれに類する事業の提供者
アクレディテーションが金で買える
大学が知らない間に「アクレディテーションした機関」のリストに載せられている
通常のアクレディテーション機関に比して経費が高い
その事実がないのに(連邦教育省やCHEAなどから)認証されているような言及がある
品質の基準が(公表されていれば)少ない
アクレディテーション取得までの期間が短すぎる
レビューが書類提出だけで済み、訪問調査や主要人物への聞き取り調査がない
レビューを行わないのに「永久アクレディテーション」が与えられる
有名アクレディテーション機関と似た名前がついている
その証拠がないのに出版物があるような言及がある
2.米国における現状
・米国連邦教育省としては、CHEAに登録された評価機関による適格認定(アクレディット)を受けていない高等教育機関は、連邦奨学金の対象校としていない。
・上記のような状況から、米国においては、CHEAに登録された評価機関(以下「正規の評価機関」とする)によってアクレディットを受けていない高等教育機関が出す学位等については、他の高等教育機関への進学や会社等への就職等につき、通用性がない現状になっている。
・それに対し、ディプロマ・ミル等は、正規の評価機関のアクレディットを受けている有名大学の卒業証書や資格証明書を偽造・模造している場合や、これとは別に大学と称して、「非伝統的」で革新的な教育を提供しているため、正規の評価機関の評価を「意識的に」受けていないと喧伝している場合、正規の評価機関のアクレディットを受けていないことを伏せて、国内の学生等に対して勧誘活動を実施している場合、米国の高等教育制度に熟知していない、外国人学生等を対象とし、現地に設置したディプロマ・ミルの代理機関を通じ、正規の評価機関のアクレディットを受けていないことを伏せて、勧誘活動を実施している場合、米国の高等教育制度に熟知していない諸外国において、ディプロマ・ミルにより発効された「学位」を有している著名人等の協力を得て宣伝活動を実施している場合、などがあるとのこと。
米国の高等教育への信頼の失墜にも繋がる
3.米国等における対応状況
・米国では教育は、各州の権限に属し、連邦教育省としてはアクレディットされていない高等教育機関の追跡や公表は難しいとされる
・CHEAではアクレディテーション団体の登録を行っている
・CHEAでは、前述のように、ディプロマ・ミル、アクレディテーション・ミル等を判断する際の指標を公表。
・連邦公正取引委員会の規則は、教育長官認証アクレディテーション機関によってアクレディテーションされていない限り、「アクレディテーションされている(accredited)」と表示すべきではないとしている(ただし、現実にはそうした表示を多数見出すことができる。)。
・ディプロマ・ミルに関する情報提供(例:オレゴン州では、「州内で無効である」機関のリストを公表)
・ディプロマ・ミルに対する連邦捜査局(FBI)のDiploma Mill Task Forceの設置
・ディプロマ・ミルやアクレディットされていない高等教育機関の存在に対する国民からの情報収集(例:オーストラリア教育科学雇用省)
4.国際機関における議論等
・OECD/CERI(教育研究革新センター)
「国境を越えて展開される高等教育における消費者保護の拡大について」報告書(2003)
中等後教育の国際展開に伴い、高等教育の質保証に関し、各国が直面するであろう基本的論点として、諸外国の学位・資格等に関する情報不足に起因する学生等人物交流促進への支障とともに、“ディプロマ・ミル”、“アクレディテーション・ミル”問題の発生が言及されている。
5.日本の消費者(学生、企業等)が直面する問題点
ディプロマ・ミル等が浸透する背景
・90年前後の米国大学日本分校ブーム、海外の大学への留学ブーム→各国の多様な大学の存在が、日本国民に浸透
・90年代後半のインターネットの普及とEラーニングの登場 →低コストで「大学」の宣伝等がしやすくなる、また、学生等にとっても、海外に留学するなど現地に赴かなくても海外大学の学位が取得しやすくなるなど、より外国の大学の学位が身近になる。
・日本国内の資格ブーム、大学院進学者増加 →学位等への関心喚起
・高次の資格としての専門職学位の登場(MBA、MOT等)
・日本で職業資格として未成熟だが、市場ニーズがあるものの増加(心理カウンセラーや、セラピスト等)
・大学等教育機関への就職、昇進等の際にPhDなど学位が必要
ディプロマ・ミル等が起こりうる具体的局面
・外国の「大学」(ディプロマ・ミル)が、その国において正規の大学と認定されていないと知らずに連携した日本の大学等が、単位互換や、共催イベント、大学関連施設の貸与等を行う(=日本の大学自体の評価・信用も低下)
・上記のような連携を通じ、日本の学生及び日本社会全体において、ディプロマ・ミル等と知らないままに、その学校名が浸透
・米国のディプロマ・ミルの他国における宣伝活動同様、著名人や大学関係者の名前を、(本人には無断で)役員や教員リストに掲載することを通じ、日本の学生及び日本社会全体において、その学校名が浸透
・その他、有名大学等の名称を模倣される、有名大学等の学位記を偽造・模倣される等
ディプロマ・ミル等による「学位」を取得する可能性があるのは誰か
・ディプロマ・ミル等の経営者、スタッフ
・就職、昇進等に利用、名誉欲を満たすために利用する人
・ディプロマ・ミル等との認識がなく、正規の大学等の学位と信じた人
ディプロマ・ミル等の被害者は誰か
・第1次被害者:正規の大学等の学位と信じた人
・第2次被害者:ディプロマ・ミル等による「学位」取得者を信じた大学等教育機関、雇用主、顧客等
裾野の広い問題で、学位全体への信用性の問題、
ひいては(日本の)高等教育全体の品質維持の問題にも関わる。
議論のポイント
ディプロマ・ミル等問題をどのような観点から対処する必要があるか。(→・日本の高等教育全体の品質維持の観点、・消費者保護の観点等)
ディプロマ・ミル等問題に対し、どのような対処が必要か。(→・情報ネットワークの整備(我が国の高等教育制度に関する基本的情報とともに、正規の大学等(通信制含む)の情報が確認でき、また諸外国の大学等についても同様の情報等が確認できる体制整備)
・ディプロマ・ミルに対する注意の喚起(問題意識の浸透のためには、適切な日本訳語の普及も必要)
・日本の大学等において、大学のブランド確保のため、自大学等の出身学生の学籍管理を厳格に行い、一般からの卒業者照会にも対応できる体制の確立等
・日本の高等教育界において、ディプロマ・ミル及びアクレディテーション・ミルを生み出さないためにも、日本の大学等(通信制含む)に対する評価機関の評価基準の早期定着の必要性等)
高等教育の品質維持および消費者保護の観点から、具体的にどのような情報項目の整備が必要か?
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- 2013/06/17(月) 00:00:58|
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